〜運命考察〜

 

 

 白い部屋で男は問うた。

「運命とは一体何なのだろうねぇ?」

 大人ぶった少年は、詰まらなそうに答えた。

「運命? そんなもの無い、、、、、、、だろ。くだらない」

 男は肩を竦めた。

 

 

 白い部屋で男は問うた。

「運命とは一体何なのだろうねぇ?」

 人を惹きつけるほど美しい瞳の少女は、自信なさげに答えた。

自分で切り開くもの、、、、、、、、、じゃ、ないかしら」

 男はなにも言わなかった。

 

 

 白い部屋で男は問うた。

「運命とは一体何なのだろうねぇ?」

 荒々しい少年は、イラついた口調で答えた。

「あぁん? んなもん俺に聞くんじゃねえよ! 馬鹿馬鹿しい、、、、、、!」

 男はかすかに苦笑した。

 

 

 白い部屋で男は問うた。

「運命とは一体何なのだろうねぇ?」

 冷たき少女は、さも当然のように答えた。

変えられないもの、、、、、、、、でしょ」

 男は黙って紅茶を一口含んだ。

 

 

 白い部屋で男は問うた。

「運命とは一体何なのだろうねぇ?」

 無表情な少年は。

「・・・・・・・」

 何も答えなかった。

 男も何も言わなかった。

 

 

 白い部屋で男は問うた。

「運命とは一体何なのだろうねぇ?」

 可愛らしい少女は、しばらく考えると、恥ずかしそうに答えた。

「・・・・・神秘的な何か、、、、、、?」

 男はやわらかな笑みを浮かべた。

 

 

 白い部屋で男は問うた。

「運命とは一体何なのだろうねぇ?」

 白衣の少年は、嫌らしく嘲笑った。

堕落、、絶望、、破壊、、欲望、、

 男は黙った。 

 

 

 白い部屋で男は問うた。

「運命とは一体何なのだろうねぇ?」

 太陽のような少女は、綺麗に笑った。

「大切な人との出会い、、、

 男は温かく笑った。

 

 

 白い部屋で男は問うた。

「運命とは一体何なのだろうねぇ?」

 黒衣の少年は、言った。

希望、、未来、、

 男は黙った。

 

 

 白い部屋で男は問うた。

「運命とは一体何なのだろうねぇ?」

 綺麗な少女は、俯いたままゆっくりと答えた。

「私が生きるにあたって、とっても邪魔な存在、、、、、
 運命なんて、レール、、、なんて・・・・・・・・・・そんなもの無ければ私は小鳥の様に自由なのに・・・。大きな自由を手に入れたいのに・・・」

 男は黙って見つめていた。

 

 

 白い部屋で男は問うた。

「運命とは一体何なのだろうねぇ?」

 理屈屋の少年は、自信満々に言った。

生きている証、、、、、、です」

 男は微笑いながら紅茶を飲んだ。

 

 

 白い部屋で男は問うた。

「運命とは一体何なのだろうねぇ?」

 強気な少女は、ハッキリと答えた。

運命は運命、、、、、よ。それ以上でもそれ以下でも、、、、、、、、、、、、、ましてや他の何かでもない、、、、、、、、わ」

 男は「まったくもってその通り」と言わんばかりの笑みを浮かべた。

 

 

 白い部屋で男は問うた。

「運命とは一体何なのだろうねぇ?」

 狂気に満ちた少年は、狂ったように嗤った。

僕の玩具、、、、

 男はおどける様に両手を広げた。

 

 

 白い部屋で男は問うた。

「運命とは一体何なのだろうねぇ?」

 真っ白な少女は、─────答えた。

「─────」

 答えは誰に届くこともなく、世界に霧散した。

 

 

 白い部屋で男は問うた。

「運命とは一体何なのだろうねぇ?」

 他殺志願の少年は、シニカルに断言した。

変わらないもの、、、、、、、。─────そう、判りやすく言えば、物語、、だ」

 男は愉快そうに口を歪めた。

 

 

 白い部屋で男は問うた。

「運命とは一体何なのだろうねぇ?」

 赫い少女は問い返した。

貴方は何だと思っているの?、、、、、、、、、、、、、

 男は答えなかった。