〜殺人考察〜
白い部屋で男は問うた。
「殺人、これをどう思う?」
大人ぶった少年は、少し考え問うように答えた。
「
男は静かに頷いた。
白い部屋で男は問うた。
「殺人、これをどう思う?」
純白の少女は、悲しそうな瞳で答えた。
「人として、
男は同じような瞳で紅茶を一口含んだ。
白い部屋で男は問うた。
「殺人、これをどう思う?」
白衣の少年は、嫌らしく微笑んだ。
「僕の
男は黙って紅茶を飲んだ。
白い部屋で男は問うた。
「殺人、これをどう思う?」
冷ややかな少女は、紅茶を飲むと冷たく答えた。
「
男は満足気に微笑んだ。
白い部屋で男は問うた。
「殺人、これをどう思う?」
クールな少年は、呟いた。
「
男は苦笑しながら紅茶を啜った。
白い部屋で男は問うた。
「殺人、これをどう思う?」
強気な少女は、高らかに宣言した。
「
そしてわたしは、
男はなにも言わなかった。
白い部屋で男は問うた。
「殺人、これをどう思う?」
まだ幼さを残した少年は、首を傾げた。
「・・・・・・
男は困ったような笑みを浮かべた。
白い部屋で男は問うた。
「殺人、これをどう思う?」
眠そうな瞳の少女は。
「・・・・・・・ふわぁ〜?」
────男は再び問うた。
「・・・・・・・・・はぃ?」
男は黙ってコーヒーを勧めた。
白い部屋で男は問うた。
「殺人、これをどう思う?」
知的な少年は、静かに答えた。
「
つまり、
だから、人殺者は、殺人者は、殺人鬼は、可笑しくもなければ、狂っても、いない。
寧ろ、可笑しいのは、狂っているのは、それを変だと、狂っていると言える奴らの方だ」
男は愉快そうに、パチパチと拍手をした。
白い部屋で男は問うた。
「殺人、これをどう思う?」
太陽のような少女は、影を落して答えた。
「私は、そんな事をする人は、絶対に、そう
男は黙って聞いていた。
白い部屋で男は問うた。
「殺人、これをどう思う?」
理屈屋の少年は、卑屈に答えた。
「
男は静かに嘲笑った。
白い部屋で男は問うた。
「殺人、これをどう思う?」
孤独癖の少女は、怒ったように言った。
「どうしてそんな事を聞くの? 今の私が何を思っていようと、何を考えていようと今の貴方には関係ないでしょう?
お願いだから貴方まで他の人たちの様に、見たような知ったような聞いたような解ったような顔して、私の引く境界を越えて、
私には
男は「そうか」と紅茶を啜った。
白い部屋で男は問うた。
「殺人、これをどう思う?」
狂気を秘めた少年は、歪んだ笑みを浮かべて嗤った。
「殺人とは、人間を殺すことだろう? だが、この世界に果たして
男は微苦笑した。
白い部屋で男は問うた。
「殺人、これをどう思う?」
狂気を纏う少女は、哄笑した。
「ひゃぁはっははっははは──────!!
何ですか? 何ですか? 何ですか? なーんですかぁ?! あ・な・た・とも在ろうお方が、何て何て何て何て何てっ、つまらない質問をするんですかぁ! そんなんじゃあ、退屈で退屈で退屈で退屈で、あ・た・し・死ーんじゃいますよぅ! ひゃはっはははっはははっははぁ──────!!
でも、ま、いーですよぅ? この親切で優すィィあたしがっ! せーだいっに、答えてあげましょうかっ!
殺人? それは
だぁって、だって、だって、し・ご・と・なーんだもんねぇっ! 日常であ・た・り・まえですよぅ!
だ・か・ら、なーんとも思わないでーすっ!! あたしって、何て何て何て何て何てなーっんて、わ・る・い・コ、なーんでしょうっ! って、そーんな事これっぽっちも思っちゃいませんよーっだ!
ひゃぁははははっははっはははははははっはははぁ──────!!」
男は耳栓をして、紅茶を啜っていた。
白い部屋で男は問うた。
「殺人、これをどう思う?」
他殺志願の少年は、微笑って断言した。
「
男は口元に笑みを浮かべながら紅茶を啜った。
白い部屋で男は問うた。
「殺人、これをどう思う?」
赫い少女は、問い返した。
「貴方はどう思っているの?」
男は答えなかった。